サウンドインスタレーションのお知らせ
この度Azumi Setodaでは江島 和臣、武田 真彦(Laatry)をお招きし、〈Cyclical Medium —堀内家の追憶—〉と称して生口島や堀内家が歩んできた軌跡に触れるサウンドインスタレーションを実施いたします。
LaatryはAzumi Setoda開業時より島の人々との会話や島ならではの「音」のサンプリングを通じて生口島のリサーチを行ってきました。今回の企画はそんな彼らが、「音の景色」の中で出会った生口島、そして堀内家の記憶を想う試みです。
文政8年、安芸国の文化風土を調査し編纂された『芸藩通志』では、生口島瀬戸田町の住民は商業、漁業、塩業、海運業に携わっていたと記載されています。そして塩作りが盛んな瀬戸内海地域のなかでも、芸予諸島(現在のしまなみ海道の島々)で生産された塩は「備後塩」として名が知られ、特に瀬戸田は平安時代から昭和40年代まで数百年にわたって日本有数の製塩地でした。
そして陸より海が流通の大動脈であった当時、木造帆船による交易路「西廻り航路」の重要な寄港地としても瀬戸田は大いに発展します。
瀬戸内海特有の潮の満ち引きを活用した航路は、北九州から木炭燃料や陶器を持ち込み、瀬戸田で塩を主軸とした荷に積み替えて都まで続いていました。江戸時代においては、全国の8割以上の製塩を瀬戸内が担い、その中の3割近くが瀬戸田を経由していたというところからも、いかに隆盛を誇っていたかが窺えます。
かつてあったこのような壮大な物語も、車社会に変わり、科学技術が急速に発展した今、この目で確かめることはできません。
〈Cyclical Medium —堀内家の追憶—〉では、生口島という地理的利点と堀内家の商いが海を通じて日本各地と結びついていた時代に想いを馳せます。島内でサンプリングした環境音や民俗資料を館内各所に配し、ふっと目に入るものや、歩を進めるたびに変容していく音によって、「浜旦那(塩田地主)」、そして北前船の「船主」としてかつて活躍した堀内家の在りし日を五感を通じて感じていただくことができるでしょう。
旧堀内邸「Azumi Setoda」を生口島の歴史文化を伝える媒体(メディウム)として捉え、土地の記憶へまなざしを向ける本試み。
館の中で、遠い記憶に触れる静かな時間をぜひお過ごしください。
Cyclical Medium —堀内家の追憶—
開催日時:2023年6月17日(土)、18日(日)10:00-22:00
会場:Azumi Setoda庭、東屋、2階ラウンジ|yubune 2階yuagari
アーティスト:江島 和臣、武田 真彦 (Laatry)
主催:Azumi Setoda 協力:尾道市文化振興課、尾道市教育委員会
*Azumi Setoda及びyubuneにご宿泊の方は自由に回遊いただけます。
ディナー時間中については見学を制限することがございますので、あらかじめご了承ください。
*ご宿泊以外の方で見学をご希望の場合は13:00-15:00のみ受付可能です。
事前に担当者までご連絡ください。info@azumi.co(担当:高橋)