2023年も残すことあと僅か。
本年もご宿泊のお客様をはじめ、地域住民の方や関係者の皆様に至るまで、幅広くたくさんのご愛顧に支えられた1年でございました。
この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
当館では盛夏から初秋にかけて、これまでお世話になった地元生産者様へ向けた感謝祭や、Azumi Setodaの建築とその空間づくりを支えた職人技術に触れる企画を通し、地域へのまなざしを深める企画を行ってまいりました。
本記事ではその様子を振り返ります。
7月。
シェフ秋田の着任周年記念に伴い、地元生産者様をお食事にお招きし日頃の感謝をお伝えする企画を開催いたしました。
Azumi Setodaのディナーは、シェフが地域の生産者様と共に作り上げる、旬を感じるフレンチコースです。産地へ足繁く通い、季節の移り変わりに応じて変化する農地や漁場から生まれる、その時その瞬間のベストを一品一品に込めています。
ご参加いただいた生産者の方々に、実際に食事が振舞われる空間でお食事をお楽しみいただきました。キッチンから「半径50km」圏内の食材に徹底したこだわった当館のダイニング。少しずつ生産者様と作り上げてきた“この土地ならでは”の食体験を、今後も丁寧に育んでまいります。
9月。
建築の観点からAzumi Setodaを掘り下げる新たな試みとして、設計を行なった構匠 三浦 史朗氏によるトークイベント第1弾を開催いたしました。築140年の豪商・旧堀内邸をつぶさに観察し、元からある素材や構造を最大限活かしながら旅館にリノベーションした三浦氏の視点に触れる企画です。
さらに、建築の過程で多くの職人技術に支えられている点も当館を語る上で欠かせません。シリーズ展開していく本企画では、各回ごとに共に空間を作り上げた職人をゲストにお招きしてその工夫や魅力をお話しいいたします。
第1弾ゲストはAJI PROJECT 代表 二宮 力氏。香川県高松市の東部に位置する牟礼町と庵治町から採掘される「花崗岩のダイアモンド」庵治石を活用したプロダクト開発を行っているAJI PROJECT。水晶と同等の硬さで風化に強いその稀有な石材としての魅力はもちろん、江戸時代より連綿と受け継がれてきた熟練の職人技術についてご紹介いただきました。
Azumi Setodaでは玄関のロゴマークをこの庵治石で表現する大胆な試みを行っています。
その類まれな硬度と青みを帯びた色合い、そしてまだらに濃淡が出る「斑(ふ)」の表情。その特有の美しさから「青御影石」とも呼ばれ、最高級石材として古くから珍重されたきた庵治石。ロゴへの抜擢はその特性を活かして行われました。
長らく高級建材や墓石として活用されてきた庵治石ですが、ライフスタイルの変化と安価な輸入石材の参入により、産業として縮小傾向にあるそう。それを危惧した二宮氏が立ち上げたAJI PROJECTでは、高い職人技術を守り、庵治石の新たな魅力発信に向けてインテリアプロダクトを開発しています。yubuneではトークイベントに合わせて商品を実際に手に取れるようポップアップショップを同時開催いたしました。
トークイベント後は三浦氏による建築ツアーを開催。リノベーション前の旧堀内邸の状態からいかに旅館建築へ再構築したか、その過程と背景をたっぷりと時間をかけて解説されました。
本企画第2弾は2024年1月20日にAzumi Setodaの家具制作を担当した土井木工株式会社 土井氏をお招きし、制作の根底をなす府中家具の歴史を紐解きつつ、家具制作における秘話に迫ります。
同時開催する建築ツアーでは、前回語りきれなかったことにも触れる予定です。ご参加枠には限りがございますので、ご興味をお持ちの方はぜひお早めにご予約ください。
「三浦 史朗氏×土井 健嗣氏トークイベント&Azumi Setoda(旧堀内邸)建築ツアー」
日時:2024年1月20日(土)
トークイベント 13:00 – 14:30 / 建築ツアー 15:00 – 15:45
場所:yubune 2階 yuagari
参加費:2000円 定員:20名
来年も様々な催しを通じて、食や習俗、伝統技術など瀬戸内海ならではの地域の魅力をお伝えしてまいります。
引き続きご愛顧賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
皆様どうぞ良いお年をお過ごしください。